草刈り機の音は・・・
3時頃から前の畑で草刈り機の音が続いている。
どうせ暑いのだから、
エアコンを切って、全部開け放した。
今日は風があって、室内も29度前後・・・
昔、ここへ来た当初は、
道路を挟んだ向かいは、一面田んぼだった。
家の左横も、山から道路まで、
段をとって5枚の田んぼが連なり、
水路がそれぞれの田を巡っていた。
田んぼのおじさんたちは、畦の草刈りは早朝にやっていたから、
朝6時前から聞こえる草刈り機の音は、いわゆる、風物詩で、
その頃朝寝坊だった主人は、
「朝の草刈り機の音がしなくなったら、この村もおしまいだ」
と、うそぶいて、つまり、寝ていました。。。
そのうち順々に、左隣のおじさんが亡くなり、
一軒置いた右隣のおじさんも亡くなり、
また後を頼まれたおじさんも年を取り、
いつの間にか、おじさんたちの田んぼは、すべて畑か、牧草地になっていた。
トマト畑だったり、大豆畑だったりと、年ごとに変わったが、
今、家の横と前は、一面、鷹の爪の畑。。。
この盛夏に、日ごとに濃くなった緑の葉は一層の暑さをかきたてる。
どこか暗い緑の中に、ちらほらと赤い色が見えてきた。
そのうち、秋風が吹く頃には、
葉を払いのけるように、赤く熟れた鷹の爪が一面に畑を広がっていく。
あまりのその景色に、息を呑むようです。
秋が進むにつれ、
茶色く枯れていく葉の間に残された赤い色は、
どこか無残で、私は意識的に目をそらせてしまうことがある。
考えあぐねて、これ以上の言葉を飲み込んだ。
眺める人・・・
田んぼの仕事は、どこか詩的です。
単調な草刈り機の音も、
そのあとの清々しい畦の連なりも、
腰を下ろして一休みをするおじさんも、
ときどきはアイスクリームを持って、
腰を下ろして並ぶ私も、
風景の一部だったみたいだ。
田んぼを作るおじさんは、魅力的です。
本気のホンで(?)
田んぼを仕事にしているおじさんは、
絶対に、絶対に、みんな素敵なおじさんです。
どんふうに水を見るのか、
いつ、畦の草を刈るのが効果的か、
このおじさんたちから話を聞くのは、とても楽しい。
残念ながら、そういうおじさんたちは、
順々にいなくなった。
鷹の爪の畑で草刈り機を動かしている研修生の若者たち・・・
あなたたちがこんな炎天下に草を刈っているのに、
ちっとも風景が美しくないのは、なぜですか?
眺める人は、知りたいのですよ。
もちろん、鷹の爪、私は今日もキュウリの浅漬けに
使いましたけどね・・・