bull87’s blog

田舎の暮らし〜こんなふうです〜老後をお考えの方、参考に〜Iターンを選択肢に入れてる方、参考に〜なるンかなあ・・・

朝焼け

5:40の朝焼け・・・

下の八畳間の窓を開けて風を入れようとして、

あまりの空に圧倒された。

カメラを持ち出し、前の道路で数枚・・・

 

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この八畳間は、十二年前、父が最期の1ヶ月近くを過ごした。

11月末、松江の病院で診察の後、

私は真っ直ぐ、この村へ連れ帰った。

 

せめて、春の山桜花を見せたい・・・

 

村の診療所にはその前から訪問診療の打診をしていた。

父はこの部屋で、毎日看護婦さんの訪問を受け、点滴をしながら、

母と私の付き添いで過ごした。

12月も押し迫った頃、

まだ暗い朝に、父をのぞくと、

「エリコさん、僕はもうダメだから、3人の婿を明日集めてくれないか」

 

両の手の人差し指で、胸の上で小さくバツの形を作った。

その頃は、3時間おきに私にセデスを要求し、

眠らない夜と、痛みと、畏れを、一人で耐えて迎えた夜明けだった。

 

12月は東向きの部屋では、夕方の西の夕焼けが照り返しを受けて、

圧倒的な美しさで空の全部を、染め上げる。

ベッドを起こして、父は飽かずその空を眺めた。

 

唯一の救いは、父が最期を

世界の圧倒的な美しさに触れて過ごしたことである。

 

「エリコさん・・・」

どういうわけか、父は時々私をサン付けで呼び、

冬の夜明け前、

父が作ったバツの印と、「エリコさん」・・・

折に触れて呼び起こされる記憶だ。