bull87’s blog

田舎の暮らし〜こんなふうです〜老後をお考えの方、参考に〜Iターンを選択肢に入れてる方、参考に〜なるンかなあ・・・

降る雪が降らないとどうなるか?

積雪が田んぼを維持する

ある年、「今年は雪が少なくて助かりますよね」と言ったおじさんに、こう言われた。

「降るものが降らンと、困るんじゃ」

「どうして?」

「春の水が心配になるケエのお〜」

 

3月の声を聞くと、村のあちこちで田の荒起こしが始まる。

冬枯れの景色を見慣れた目には、掘り起こされた黒々とした田の土が眩しい。

そのうち、村中に張り巡らされた水路から、勢いよく流れる水音が聞こえるようになる。

ブルちゃんはお散歩の度にその水音に耳を澄ませた・・・

雪解け水の匂いも嗅ぎ取っていたに違いない・・・

 

たった10年ほど前までは、村の春は、このようにして始まっていた。

 

 水争い?

これも以前の話になるが、他の集落の家のことで、ある人に訪ねたことがあった。

「◯家と◯家は、もしかして仲が悪い?」

「ウン? 待ってエよ、◯と◯は水が同じだったかいなあ」と考えるそぶり。

「同じ水を使っていれば、色々あるケエなあ」

 

「ここは江戸時代か!」って、胸の内でツッコミたくなった。

山から水路を伝って流れてくる水を、先の田が自分勝手に十分に使えば、後の田は水が足りなくなる。

たくさんの水量がある年でも、何らかの水の揉め事はあるらしいから、水が足りない年には、死活問題だ。

ずっと昔から、同じ水路の水を使う家と家が仲良しであろうはずがない。

 

 春は名のみの風の寒さよ・・・春間近、同じ水を使う家々が共同で水路掃除をしているのを見かける。

冬の落ち葉を取り除いて、周囲の枯れ草を刈る。

一番に、一番に、水の通る道が大切なのだ。

 

すっかり田んぼはなくなった我が家周辺では、このような水路の管理はされなくなった。

それでも山からの水路はあるから、水が溢れて道を流れたりするようになった。

夏の草刈りの草が放置されていれば、水路に枯れ草がたまったり、イノシシが斜面の枯れ草の下を掘り起こしたりして、水路に土も落ちてくる。

今度は水路からも草が伸びて、ここまでくるともうほとんど、お手上げ状態かな?

 

ブルちゃんが聞き耳を立てた水音は、聞かなくなってから久しくなります・・・

 

雪の冬がひと段落して、山から流れ落ちる水音は、村の春を告げていたのです。

今年は、この1月をこのようにして送り、2月を過ぎ、3月はどのような春の訪れを迎えるのでしょうか。