「男はつらいよ お帰り寅さん」と、この「キネマの神様」2作は、「ありがとう!山田洋次監督」映画としたい
で、私なりの感想を。
①北川景子さんという女優さんを、再発見した。
あまりにお美しいゆえ、お人形さん(?)みたいで、今まではすご〜く低評価だった(私には)。
堤幸彦監督の「ファーストラヴ」でも、芳根京子さんのおかげで辛うじて保っていた(ごめんなさい)。
ところが、「キネマの神様」のあの女優さんは、北川景子しかありえないなと思った。
例えば蒼井優ちゃんとかやっていたら、きっと似合わなかった。
つまり、昭和の映画の、どことはなしに作り物っぽい役者さんの感じ、それが北川景子さんにはよくハマっていた。
このことは何も、悪口ではなく、北川景子さんという女優さんが待つ、いいところなんだと思う。
結局、役者さんは、監督が作ってあげるものなんだね。
②山田洋次監督は、どうしてああも狭いところがお好きなのかと・・・
「お帰り寅さん」の、大人になった満男くんのマンションの彼の部屋が、あの狭さが、すご〜く好きだった。
「キネマの神様」では、テラシン(野田洋次郎さん)の貸し間の部屋が、まさにそれだった。
③今回も、小道具のあれこれが、やっぱり、山田組のそれだった。
映画館に行った人が、気づかれたかは知らないが、緑色の琺瑯のやかんが、2場面で写っている。
このやかんの形状は違うものだが、どういうわけか、どちらも緑色の琺瑯のやかんだった。
本当は、昭和のあの時代に、あの琺瑯のやかんはおそらくなしのはずだと思うが、小道具さんはあのやかんを持ってきたんだ。(もしかして、若い平成生まれの小道具さん?)
狭いところがお好きなわけではないはずで、つまり、セット作りがそうなるだけかもしれない。
あるいは山田洋次監督は、あの狭さが!昭和だ・・・まさか、そんなふうに思っておられたわけじゃないと思うが・・・
こんなことばかり言っていると、昭和生まれだけが見ればいい映画だということのなりそうだが、やっぱりそれは違う。
映画好きなら、平成生まれさんもちゃんと映画館で、観ておいた方がいい。
そうして、セット作りとか、小道具とか、そういうものが映画を作るということにも思いを馳せてもらいたい。
例えば「罪の声」とか、あれはすごく残念な映画だった。
おそらくセット作りや小道具や、ロケ地とか、役者さん着ているものとかで、せっかくの設定が、ちっとも映画に入り込めない違和感を出してしまっていた。
(星野源くんが着ていたアイロンがけのワイシャツのシワ感、あれはマル)
あのあたりがなんとかなっていたら、ごちゃごちゃ言わせない映画を見せてくれたような気がする。
小栗旬くんや星野源を見せる映画だから、と、たかを括って仕舞えばいいのかもしれないが、そんなことじゃあ、映画に対する愛が泣く。
役者さんは、監督さんが作る、これで、映画は成り立つ(と、私は思う)。
そうして映画は、大道具さんや小道具さんが、思いっきり映画の完成度のパーセンテージを占めている(と、私は思う)。
(だから、エンドロールは、ちゃんとゆっくり流して欲しい。パンフじゃあ、文字が小さすぎて、可哀想だ。。。)