bull87’s blog

田舎の暮らし〜こんなふうです〜老後をお考えの方、参考に〜Iターンを選択肢に入れてる方、参考に〜なるンかなあ・・・

「影の王」

「戦争」というより心の純潔の話のような。。

2023年2月25日発行。

中央図書館の新刊本コーナーを通りかかって、やっぱり、この題名と装丁には引き寄せられた。

 

 ガーディアン誌の「現代アフリカ文学のベスト10」の1冊に選ばれた、とある。

訳者の粟飯原文子(あいはらあやこ)さんのあとがきを立ち読みしたら、読んでみたくなった。

 

「マアザ・メンギステは一九七一年、エチオピアの首都アディスアベバに生まれた。一九七四年、エチオピアでは、食糧危機と経済危機から反体制運動が広がるなか、軍部の革新派(デルグ=暫定軍事行政評議会)主導で社会主義革命が起こり、ハイレ・セラシエの帝政が倒される。大きな混乱が続いて一家は国を離れることになり、マアザが四歳のとき、まずナイジェリアへ、次にケニアへと移り住んだ。そののち、さらなる安全のために七歳でひとりアメリカへ送られ、コロラド州の小さな町の施設で育った。〜」

 

1930年代のイタリアのエチオピア侵攻。

受験で世界史をとった人なら、さっ〜と習う程度には知っているのかな?

あるいは、ムッソリーニエチオピア侵攻は、第二次世界大戦前の「複雑怪奇な」ヨーロッパ情勢の一つらしいが、これも常識的な知識で、知らないのは私だけ?

 

まあまあ、とにかく読み始めたのだが、複雑怪奇(すみません、個人的な感想)。。。

不思議といえば不思議な世界が、いいえ、奴隷制度の現実を、不思議な世界と感じる私の「能天気」には、未知の世界が描かれていく。

そうしてそのうち、これは本当にこのような現実があったに違いないんだということに引き寄せられるように、読んでいくことになる。

 

4日はかかったかなあ〜

読み終わったら、ふ〜とため息が出た。

 

上手に言えないけれど、今も世界のどこかで、このような現実があるのじゃないか。

まあそんなに単純ではないのだろうけれど、男や女、少女や兵士、父と子、母と子、貴族と奴隷、信念、純潔、信頼、悔悟、奪う者と奪われる者、・・・「影の王」で描き出されるこれらのことは、普遍的な事柄だと思わせられる。

 

ムッソリーニの心のどこかには「古代ローマ帝国」、そんな誇大妄想があったかもしれないし、やはり当時のヨーロッパ情勢がエチオピア侵攻に向かわせた、と考えるべきなのかもしれない、というふうなことが、調べれば書いてある。

「歴史用語」サイトには、こんな見出しもあった。

ムッソリーニ独裁下のイタリアがエチオピアを侵略、国際連盟経済制裁を実行したが効果があがらず、1936年に併合を強行した

う〜ん、プーチンさん・・・習近平さん・・・

ウクライナ侵攻も、後世にはこんなふうに書かれるのだろうか。

 

ああ、読書感想文としては、ひどいな!

でも、この本、中学生とか高校生とかに読んでほしいよ。

1日明けたら、あれ、この人、誰だっけ、みたいな、カタカナの名前に弱い私みたいなおばさんが読むより、数段の社会的貢献だ笑

 

ここで、ちなみに・・・

ずっと前に、中学校に出入りしてた時、休み時間の周囲の喧騒をよそに本を読んでいる男の子や女の子に出くわすことがあった。

坂の上の雲」これは中3女子。

「今、何巻目?まだあと2巻もあるよ。受験勉強、大丈夫?」って声かけてしまった。

武田泰淳ひかりごけ」を読んでた中2女子。

「面白い?」って思わず言っちゃった。嫌な顔されたけどね。

舟を編む」を読んでた中3男子。

これは中学校の図書室に置かれた朝一番に、私が先に読んじゃったもんで。

私が「これ、いいよね」って言ったら、静かに微笑み返してくれた。

 

つまり、だから「影の王」、中高の図書室には置かないと!