この1ヶ月間に観た映画を記録
「オールド・オーク」 6/4 函館シネマアイリスにて

ケン・ローチ監督のイギリス北東部3部作の最終章、そして最後の作品になるかもしれないと言われる映画だ。4月末に封切りされているが、地方の単館には一月遅れでやってくる。
「わたしは、ダニエル・ブレイク」「家族を想うとき」も、人間への深い温かさが伝わる映画で、大好きな映画になった。
でも、「オールド・オーク」は本当に「希望」を私たちにもたらしているのだろうか。
1936年生まれ、90歳になろうとしている監督の、この世界に対する悲観が伝わってくるように感じてしまって、もちろん「希望」は私たちにすぐそばに見つけることはできるのだと言っていてはくれるのだが・・
ハンバート ハンバートが歌った朝の連ドラ主題歌の歌詞には、「日に日に世界が悪くなる 気のせいか そうじゃない」などとあって、最後には「今夜も散歩しましょうか〜」で終わるんだけれど、あの歌の歌詞の世界に通じるようではあった。
多分、世界中でみんなが「希望」の小さな在処を探している。
晩年の監督の悲しみが深く深くななっているようではあった。
「ハムネット」 5/11 函館シネマアイリスにて

ある映画評論家の方が「とにかくジェシー・バックリーを見てくれ」って力説されていた通りだった。彼女の表情に釘付けされてあっという間の2時間が過ぎる。
16世紀イギリス、シェイクスピアの妻の物語なのだが、シェイクスピアはほんの脇役。
映像の色彩といい、ああ、イギリスの中世後期ってこんなふうだったんだって教えてもらえるように、丁寧に作り込んであったような気がする。
で、イラン映画に浸かる・・・
Amazonプライムビデオで「イラン映画」と検索して、以下を観た。
どうしてイラン映画なのか?う〜ん、今のイランとの戦争のせいというよりも、アッバス・キアロスタミ監督の映画みたいなのを観たい、そういう心境からか・・
5本観た。やっぱりイラン映画はいい。
「君は行く先を知らない」 5/21 Amazonプライムビデオ

・パナー・パナヒ監督 1984年生まれ、42歳
・長編デビュー作 2023年公開
・キアロスタミ監督の助監督だったジャファル・パナヒ監督の長男で、幼い頃にはキアロスタミ監督の撮影の現場にも父親に連れられて行っていたそうだ。
キアロスタミ監督→ジャファル・パナヒ監督→パナー・パナヒ監督と、イラン映画の美しい詩情を見せてくれる監督が続いているのが、暁光のようでもある。
・もちろん、先の2人の監督が見せる社会性が、この映画では具体的だ。
つまり、イランを逃げ出す、いや、逃げ出すしか未来がない若者と、それを送り出す残る者の心の有り様が、あのような社会に生きていない私たちにも共感をもたらす。
・下のシーンのような映像には、ふた世代、ひと世代前の監督とは違う若さ?が感じられた。
・野営している父と子が、満点の星空に浮かび上がって星座と一体化していく長回しのシーンなどは、アレッ?なくてもよくないですか?って思うんだけれど、こういうところにも若さを感じた。
・イランの若き才能に幸あれかし!!!

受け継がれた映像美は揺るぎない
「聖なるイチジクの種」 5/22 Amazonプライムビデオ

・モハマド・ラスロス監督 1972年生まれ、53歳
・2024年発表され、国外で上映・受賞された直後、「国家安全保障に対する罪」で実刑判決を受け、徒歩で国外脱出、ドイツへ亡命。
・イランで起きた2022年の抗議運動(女子学生がヒジャブの着用を守らなかったことで「道徳警察」逮捕され死亡した事件に端を発する)の最中の、ある家族の話だ。
・政府の張り巡らされた市民への監視の目を潜って秘密に撮影され、オンラインで監督された。抗議デモ弾圧の実際のビデオ映像も使われている。
・監督は徒歩で国境を越えて脱出したのだそうだが、この国外脱出のケースは「君は行く先を知らない」にも、「熊は、いない」にも、現実のイランの日常の一つの行動として、どのようにして計画実行されるのかを見せてくれる。
・少し苛烈さが際立つのは、観るものにも伝わるものがある。
以下の3本はまた明日に感想を
「熊は、いない」 5/25 Amazonプライムビデオ
「オリーブの林をぬけて」 6/2 Amazonプライムビデオ もう2回観て3回目
「運動靴と赤い金魚」 6/4 Amazonプライムビデオ
ちなみに来週は函館シネマアイリスにジャファル・パナヒ監督の「シンプル・アクシデント 偶然」が来ます(こちらも一月遅れ)。