bull87’s blog

田舎の暮らし〜こんなふうです〜老後をお考えの方、参考に〜Iターンを選択肢に入れてる方、参考に〜なるンかなあ・・・

本をチョイスする 1

本は捨てないで、手元に残す本を選ぶという考え方

2、3年後には、中国山地の山陰側のこの山の中を出て、

老後を過ごすために、函館へ行く予定でいる。

 

その準備というか、心構えという意味で、

ここ1年余りは、折々に身辺の物を処分してきた。

結構すっきりとはしてきたけれど、

一番時間がかかりそうな本が、ほぼ手付かずになっている。

 

で、初めは「本を捨てる」というふうに捉えていたけれど、

あるときふっと、「本をチョイスする」のだと考えることにした。

 

山田風太郎「人間臨終図巻」(1〜4)

老後だから?って思われたら、それは違っている。

単純に、面白さ抜群!

歴史上の著名な人物が、

誰が、何歳で、どのようにして死んだかが書かれている。

 

10代で死んだ人の一番手は、八百屋お七、次が大石主税、と言った具合だ。

現代に亡くなった人は、病名も分かっているけれど、

歴史上の人物は、臨終の様子だけでなく、死亡原因も推察したりもしている。

 

辞世の句が残っている人は、必ずそれが書かれているのもいい。

また交友関係なども知られて、意外な発見もある。

 

多分、これからは夜の本読みが体力的に無理になっていくだろうから、

この臨終図巻は、お布団の中で拾い読みしたりするのに、最適な本だ。

これはチョイスする!

 

山田風太郎さんは、大衆娯楽小説といった著作が山ほどあるらしいが、

私は一冊も読んでいない。

読んだのは「戦中派焼け跡日記」だけだ。

これは、その頃、戦地からの軍事郵便や戦中日記の書き起こしをしていたから、

そういった関係で読んだのであって、

従って、おそらく、もう多分読まないだろうから、チョイスしない。

 

ちなみに、実際の戦中日記は、なんだかしっくりくるということがなかった。

このことをどのように思ったらいいのか、

しっくりこない自分を申し訳なく思いもし、

また、人が自分を「美化する」ということについても、考えざるを得なかった。

その延長線上で、内地に残った同年代の人たちを知りたく思って、

山田風太郎さんの本に行き当たった。

山田風太郎さんは、おそらく「美化する」という行為やその心を、

とても恥ずかしく思う人であったような気がした。

 

だから、彼は人が死ぬ時を書いた。

それが実に面白かった。